首里城観光の目玉である正殿には、数多くの龍の彫刻や装飾があります。古くから中国と深いかかわりを持つ沖縄ですから、幸運の象徴とされる龍が多く存在しても不思議ではありません。でもそこには秘密があるのです。

2本の龍柱の表情は違っている

正殿前で互いに向かい合わせに立っている龍柱は、正式には「正殿大龍柱」といいます。屋根にいる鮮やかな装飾が施された龍に比べて、何となく黒ずんでいて古めかしい感じがする龍柱ですが、その表情をよく見てみると2体とも顔の表情が違っていることがわかります。

実は正殿正面から向かって右側にある龍柱は口が開いており、左側にある龍柱は口が閉じています。門の両側でこのような形で立っている有名な像といえば、お寺の入り口に立つ「金剛力士像」を思い出します。

金剛力士といえば、仏教では「仏の敵を払う守護神」とされていて表門の入り口に二体一対で設置されています。一般的には「仁王像」と呼ばれることも多い金剛力士の顔も、よく見てみると片方が口を開け、もう片方が口を閉じています。そして口を開けているほうを「阿形像」といい、口を閉じているほうを「吽形像」といいます。

一説には首里城はお寺がモデルになっているともいわれていますが、もしかしたら正殿前に立つ龍柱も仏教の金剛力士像と深い関係があるのかもしれませんね。

正殿内にある龍の龍の爪の数には秘密が隠されていた

本州で目にする龍といえば、爪が3本になっています。ですからほとんどの人が龍の絵を描くと、3本爪の龍の絵を描くに違いありません。ところが首里城正殿内で目にする龍の爪は、4本あります。実はこの爪の数にも、中国との深い関係を続けてきた琉球王国ならではの秘密があります。

そもそも龍というのは、中国では皇帝を象徴する想像上の生き物です。西洋地域では「ドラゴン」と呼ばれていますが、東洋地域では特別な力を持つ存在として考えられ、特に中国では龍にまつわる神話や伝承が数多く残されています。

ちなみに中国の龍の力はすさまじく、水や台風、洪水などを司る神様というだけでなく、権力・力・幸運の象徴とも言われ、すさまじく強力な力を持つ縁起の良い神様ともいわれています。それだけの力を持っている龍が中国の皇帝の象徴とされていたわけですから、当時の中国政府にとって龍をモチーフにした彫刻や装飾は軽々しく使うことができない特別なものでした。そんな特別な存在であり絶対権力者である皇帝の象徴でもある中国の龍の爪は、実は5本あります。

では「首里城の正殿内にある龍の爪の数はいったい何本あるのか」というと、なんと4本!ここにも当時の琉球王国と中国との関係がかかわっています。

琉球王国は中国と独自に貿易を行っており、古くから深いかかわりを持っています。そのため琉球王国は、中国の皇帝から国として認められていた数少ない小国でした。大切な貿易国であり、琉球王国が発展を続けるには良好な関係を維持しなければならなかった琉球王国。しかも首里城には中国皇帝からの使者もたびたび訪れる場所であり、彼らへの配慮も重要になります。

そこで首里城正殿にある龍の像は、中国の龍(皇帝の象徴)が5本爪であることを配慮し、1本少ない4本爪になったといわれています。

首里城の正殿内には33匹の龍がいる

首里城では、実に多くの龍の装飾を目にすることができます。特に首里城の中でも中心的な建物である正殿には、数多くの龍の姿を目にすることができます。正殿正面にそびえたつ二本の龍柱はあまりにも有名なのですが、視線を正殿の屋根のほうに向けてみると、そこにも龍の姿があることがわかります。では一体首里城正殿には、何匹の龍がいるのでしょうか?

その答えは、「33匹」です。実際に正殿内で龍の姿を数えてみると全部で31匹しかいないのですが、残りの2匹は一般には公開されていない場所にあるため実際に正殿内を歩き回っても直接目で見ることができるのは31匹までです。

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