沖縄には危険生物がたくさんいますが、ここ数年で問題になっているのが外来種の巨大ヘビ・タイワンスジオです。沖縄の生態系に影響を及ぼすかもしれない巨大ヘビ・タイワンスジオの実態と現在の対策法をまとめました。

タイワンスジオってどんなヘビ?

タイワンスジオは、名前からも分かる通り台湾が原産地のヘビです。

体の大きさは平均して2メートルで、最大サイズになると全長2.7メートルになります。

その大きさゆえに「巨大ヘビ」と言われています。

沖縄の希少種を捕食する厄介なタイワンスジオ

タイワンスジオは毒がありません。つまり無毒のヘビです。

沖縄に生息しているヘビの代表格・ハブが「毒があって危険」と言われているので、もしかしたらあなたは「毒がなければ問題ないんじゃない?」と思うかもしれません。

ところがそうでもないのです。

実はタイワンスジオは哺乳類や鳥類を食べてしまいます。

今のところ沖縄本島内でタイワンスジオの定着が確認されているのは恩納村や嘉手納町、沖縄市、石川市など本島中部エリアなので沖縄の生態系に影響を及ぼすことはありません。

でも今後タイワンスジオが本島北部エリアに生息域を広げていくと、生態系に大きな影響を与える危険があります。

本島北部エリアは「ヤンバル」と呼ばれる亜熱帯地方特有の自然がそのまま残る地域です。このヤンバルの森にはたくさんの希少動物がすんでいます。

例えばヤンバルクイナやノグチゲラ、オキナワトゲネズミなどがその代表ですが、絶滅危惧種とも言われています。

もちろんこうした在来生物は哺乳類・鳥類ですから、タイワンスジオの補色対象です。

もしもタイワンスジオがヤンバルの森に住みつき、希少動物たちを食べてしまったら…絶滅してしまうかもしれません。これが今、一番の問題になっているのです。

沖縄では数年前から期間限定でタイワンスジオの買取を行っていた

沖縄県もタイワンスジオ対策をしていないわけではありません。

本島中部ではすでに定着が確認されているタイワンスジオですが、年々その分布域が広がっています。そのため沖縄県では数年前から、期間限定でタイワンスジオの買取を行っています。

買取をする期間や金額については募集する年によって違いがあります。なお令和元年8月30日までの買取については1頭5,000円となっています。

ただしこの買取はあくまでもタイワンスジオの情報収集・調査を目的としているので、令和元年実施分については買取数100頭限定となっています。

他の年に実施された時も、令和元年同様買取数・期間を限定して実施しています。

ちなみに買取の手順というものがあって、その中には回収日の指定もあります。

令和元年度の実施内容では回収日を毎週金曜日と決めているので、捕獲したタイワンスジオは回収日まで冷凍保存をすることが決められています。

他にも買取においては「事前に捕獲従事者に登録する」「成人に限る」「怪我をしてもすべて自己責任」など制約だけでなくリスクもあるので、単純に「お小遣い稼ぎにタイワンスジオを捕獲してやるか!」とはなかなかならないようです。

どうして外来種のタイワンスジオが沖縄に定着したのか?

タイワンスジオは外来種のヘビです。危険な毒があり夜行性のハブとは違い、タイワンスジオは無毒で昼行性です。

でも動きは早く、活動範囲も広いです。そのため地上だけでなく木の上でも見かけます。

このように説明すると「なんて扱いにくいヘビなんだ!」と思うかもしれません。

ところがタイワンスジオはちゃんと飼育すれば扱いやすいヘビなので、観光施設などで観賞用・展示用として多く輸入されました。

さらに本島中部に住むアメリカ人がペットとして飼育していました。こうしたこともあって本島中部でタイワンスジオが繁殖し、そのまま定着してしまったというわけなのです。

無毒だけど噛まれたら怪我をする危険もある

タイワンスジオは無毒ですが「無害」ではありません。危険が迫ると威嚇音を出してきますし、噛みついてくることもあります。

もちろん噛みつかれるとかなり痛いです。

さらに体長が2メートル以上のタイワンスジオも珍しくありませんので、体の小さな子供たちが襲われれば大怪我をする可能性もあります。

「もしもタイワンスジオが子供の身体に巻き付いてきたら…」。想像するだけで恐ろしいですね。

不用意に近づかないのが大事!

タイワンスジオは無害ですし、体に巻き付いてきたとしても締め付けられて死に至るようなこともありません。

また大人であれば腕に絡みついたとしても振りほどくことが出来る程度の力です。

でもタイワンスジオを判別するのはそれなりに知識が必要です。

なにしろ沖縄には数十種類のヘビが生息しているのですから、ヘビに関する知識がなければタイワンスジオと他のヘビを判別することは難しいです。

つまり「タイワンスジオと思って捕獲したら別の危険なヘビだった」ということも考えられるのです。

そのためタイワンスジオを見つけたとしても不用意に近づかないことが大事!

まして素人がお小遣い稼ぎのためにタイワンスジオを捕獲するなんてことは絶対にやめましょうね。

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