沖縄県内には酒造所がたくさんありますが、そのほとんどが泡盛酒蔵です。そんな沖縄で唯一日本酒を作っている酒蔵があります。そこで作られるのが「黎明」。一体どんな日本酒なのでしょうか?

沖縄県唯一の酒蔵【泰石酒蔵】とは

沖縄県で唯一清酒の製造・販売をしている酒蔵が、泰石酒蔵(たいこくしゅぞう)です。

創業者の安田繁史氏が1952年に創業した酒蔵で、日本最南端の酒蔵として清酒の製造をしています。

創業当時は米軍向けのお酒を造る酒蔵だったようで、ウイスキーやリキュールの製造も行っていました。

現在のところ沖縄県内にある日本酒の酒蔵は泰石酒蔵のみですので、沖縄で一番有名な日本酒は泰石酒造が作る「黎明」ということになります。

酒造りに適さない沖縄で日本酒を作る難しさ

沖縄は決して日本酒造りに適した環境とは言えません。第一に、日本酒の原料となる米の問題があります。

清酒の原料となる米は高精米が必要なのですが、沖縄にはこれに対応できる施設がありません。そのため原料となる米はわざわざ九州から仕入れているといいます。

さらに清酒造りの決め手となる湧き水にも問題があります。泰石酒蔵があるうるま市(旧具志川市)は、もともとは豊富な湧水が出ることで有名な場所でした。

そのこともあってうるま市に酒蔵所を建てたそうなのですが、時代と共に酒造りの要である水質がどんどん変化していきます。

そのため現在は本島北部の天然水を取り寄せ、わざわざ軟水処理をしてから酒造りに使っています。

さらに一年を通して高温多湿の沖縄の気候も、清酒造りの大きなハードルです。酒造りはもろ味の管理が重要になるのですが、もろ味は低温状態を保つ必要があります。

温度が上がりすぎると発酵が進み過ぎてしまいますが、沖縄は年間平均気温が25度前後と非常に高いです。

そのためいかにしてもろ味の管理に適した温度を保つか、が大きな課題なのです。

こうした様々な難問にぶつかりながらも、独自の工夫と技術、そして作り手の経験によって作り出されたのが沖縄唯一の清酒「黎明」なのです。

沖縄唯一の清酒「黎明」の特徴

沖縄唯一の清酒である黎明は、軟水の辛口仕立てです。一般的に軟水というと甘口のイメージが強いのですが、黎明はそのイメージとは違いコクのある辛口が特徴です。

スッキリとした飲み口というよりは、どちらかというと「昔ながらの日本酒」といった感じに近く、飲んだ後に喉に残る余韻が印象的な日本酒です。

ちなみに銘柄は「黎明本醸造」と「黎明純米吟醸」の2種類があります。

黎明本醸造

まったりとしたコクがあり、泡盛を思わせるようなインパクトのある辛口のお酒です。

実際に飲んだ人のコメントを見ると、「泡盛のような感じの日本酒」「古き良き時代の日本酒」「さすが沖縄の日本酒」「アルコール感が一気にくる」などがあります。

黎明本醸造 基本情報

  • 【日本酒度】+7.1
  • 【アミノ酸度】1.8
  • 【度数】15.5度
  • 【容量】1,800ml

黎明純米吟醸

本醸造と比べるとスッキリとしたフルーティーなお酒です。

まったりとしたコクが特徴の本醸造を「昔ながらの日本酒」に例えるなら、純米吟醸は「爽やかで若々しい日本酒」のようです。

飲み口が爽やかなので、冷やして飲むのがおすすめです。

実際に飲んだ人のコメントを見ると、「本醸造よりもクリアなコク」「スッキリとした飲み口で爽やか」「イメージしている以上に飲みやすい酒」「フルーティーな香り」「どちらかというと甘口に近くて飲みやすい」などがあります。

黎明純米吟醸 基本情報

  • 【日本酒度】ア0
  • 【アミノ酸度】1.3
  • 【米】レイホウ
  • 【精米歩合】こうじ米55%、掛け米60%
おすすめの記事