
琉球の歴史に興味があるなら、まずは琉球の歴史の中に出てくる難読語の意味を知ることが大事なポイントです。琉球の歴史を知る上で知っておくべき基本的な難読語をまとめてみました。
難読語その①【按司(あじ)】
地位を表す言葉です。琉球が統一される以前に各地の領主となっていた人物のことを言います。
琉球統一後は王族に次ぐ地位とされました。琉球統一直後はまだ混乱の時期だったため、各地の按司たちは虎視眈々と国王の座を狙っていました。
そのため国家の安泰の為に力を持った按司には積極的に政略結婚が行われており、婚姻関係によって琉球王府内での勢力図も変わってきました。
難読語その②【親方(うぇーかた)】
地位を表す言葉です。位置的には按司の下に位置しますが、按司の下にはたくさんの士族がいます。その士族の中でいえば最高位に当たるのが親方です。
親方にたどり着くまでにもたくさんの地位がありますが、簡単に下位から説明すると「里之子→親雲上→親方」の順になります。
難読語その③【御主加那志(うしゅがなしー)】
琉球王国の国王のことを言います。御主加那志の「加那志」は「敬愛する」という意味があります。そのため王様の敬称として使います。
御主加那志のほかにも加那志が付く敬称がありますが、いずれも「敬愛する」とか「愛しい」という意味が含まれていると考えます。
難読語その④【科(こー)】
士族に生まれたとしても、誰もが無条件で王府の役人になれるわけではありません。
科は役人になるための試験のことを意味しており、中国で同じく役人の試験とされていた「科挙」がモデルになっているといわれています。
この試験に合格すると王府の役人となることが出来ますが、その成績次第では高官になることもできます。今でいえば「国家試験」といったところでしょう。
難読語その⑤【捌理(さばくい)】
役職を表す言葉です。位置としては地頭代の下に位置し、それぞれの間切の番所に勤めます。間切は今でいう「村」のことですので、村役場の役人という立場になります。
難読語その⑥【三司官(さんしくゎん)】
国の中枢を担う3人の宰相のことを言います。三司官の上には「摂政」と呼ばれる役職がありますが、実際に政治を動かしていたのは三司官の方です。
国の政治にかかわるすべてのことを担当するため、効率よく業務をこなすために「用意方」「給地方」「所帯方」の3つに分かれていました。琉球王府においては、政治の最高権力者である国王の下で直接政治にかかわる重要な役職といえます。
難読語その⑦【地頭代(じとぅでー)】
役職を表す言葉です。間切単位に置かれていて、現在でいう「村長」のような存在です。
琉球王府からの命令を直接受ける立場にあり、年貢の徴収や人々の管理なども行います。
難読語その⑤で紹介した捌理は村の役人なので、村長である地頭代の下に位置します。
難読語その⑧【親雲上(ぺーちん)】
親雲上は「士族の称号」として使います。士族の中でも位は高く、基本的には名前にあたる部分が「親雲上」の上につきます。
「伯爵」「侯爵」などのようなイメージで使っていたと思えばわかりやすいかもしれませんね。
難読語その⑨【掟(うっち)】
役職を表す言葉です。間切の行政責任者に与えられる役職です。間切は現在の「村」に当たりますので、村の責任者ということになります。
村の役人の最高責任者は村長である「地頭代」ですが、掟は地頭代を経験した人が付く役職です。
ちなみに地頭代は捌理を経験しないとなれませんから、村役人の出世コースとしては「捌理→地頭代→掟」となります。
難読語その⑩【聞得大君(ちふぃじんがなしー)】
琉球王国は、政治の最高権力者が国王で神女の最高権力者が聞得大君です。
琉球王国は女性の神様が国づくりをしたということもあって、王族の女性にも強い権力が与えられていました。また政治と宗教はどちらも同等の力を持っており、琉球に置いて政治と宗教は切り離せないものでした。
聞得大君は基本的に国王の妹がなります。琉球では女性のきょうだいは男性のきょうだいの守り神であると考えられているので、国王の守り神としての神事のほかに国の安泰を願うための神事に携わることが聞得大君の役目となります。