沖縄の年中行事では必ず「旧暦」が関係してきます。でも沖縄の暮らしに関係があることはなんとなくわかっていても、その仕組みや特徴がよくわからないのが「旧暦」。ではその仕組みとは?

普段は意識しなくてもある時期になると誰もが気になる「旧暦」

沖縄のローカルテレビやラジオを聴いていると、オープニングで「今日は旧暦の〇月〇日です」というコメントをよく耳にします。普段は旧暦とはほとんど縁のない若い世代でも、沖縄に住んでいる限り「お盆」だけは例外です。

何しろお盆は沖縄の年中行事の中でもトップ3に入るほど大事な行事。しかもお盆は沖縄から離れて暮らしていても「必ず家族で里帰りをする」という人が圧倒的に多い!とはいえ通常のお盆の時期とは少しずれるだけに「休みをいつのタイミングでとるか」ということが関係してくるので、普段は旧暦とはほとんど関係のない人でもこの時ばかりは数か月前からチェックします。

働き方の違いで日本の暦は変わってきた

旧暦の仕組みは新暦とは違います。旧暦はかつて全国的に使われていた暦ですが、現在ではほとんど使われていません。その理由は「働き方の違い」にあるようです。

そもそも日本は農業がメインの農業国でした。ですから「働く=農作業」が一般的でした。農業では季節が農作業に大きくかかわります。春には種まきをし、夏の間は農作物の世話に追われます。そして秋になると収穫の時期を迎え、冬は農閑期になります。

このタイミングを知るための暦が「旧暦」。なぜなら旧暦は「太陽の動き」と「月の動き」を基にして暦が作られるからです。太陽の動きと月の動きは「季節」とも関係してきます。そのためこの2つを元にして作られる旧暦に合わせて農作業を進めていくのが一般的だったというわけです。

ただ時代とともに日本人の働き方も変わりました。畑に出かけて農作業で汗を流す暮らしよりも、毎日の通勤ラッシュに耐え会社で山のように積み上げられた仕事をひたすらこなしていく暮らしが主流になってきました。

そのため自然現象がベースの旧暦よりもきちんと暦が決まっている新暦の方が、現代人の生活にはマッチするようになっていったというわけです。

旧暦では1か月を29日または30日で計算する

新暦では1か月を30日または31日で計算します。ただしこの計算でも時間の経過とともに少しずつずれが出てきます。それを調整するために4年に一度の閏年で「1か月を28日」として暦のズレを調節します。

ところが旧暦では、1か月を29日または30日で計算します。これは月の朔望が関係します。

「月の朔望」というのは月の満ち欠けの周期の最小単位のことを言います。月は「新月」からスタートし「満月」にピークを迎えます。ピークを過ぎると再び新月の状態に戻っていきます。つまり「新月」は、月の満ち欠けのスタート地点とゴール地点の意味があるのです。

ちなみに新月から満月までは15日かかります。そして満月から新月までも15日かかります。これなら新暦とほぼ同じような気がしますよね?ところがここで問題になるのが「月が地球を一周するのにかかる時間」です。

月が地球を一周するのにかかる時間は29.5日です。つまり1か月を30日で固定してしまうと、早い段階で暦と季節にズレが出てきてしまいます。そのため旧暦では1か月を29日または30日で計算するというわけなのです。

旧暦の1年は365日ではない

「一年は何日ですか」という質問をしたら、ほぼ100%の人が「365日」と答えるに違いありません。でも旧暦では1年は365日ではありません。なんと「354日」なのです。

これは月が地球を一周するのに必要な時間「29.5日」が関係します。1か月が29.5日ということは「29.5日×12か月=354日」となります。これでは新暦の365日と11日のずれが出てしまいます。

さすがにこれでは正確な暦がわかりません。そのためこのずれを解消するために閏年ができます。でも旧暦の閏年は1か月の日数が減るのではありません。1年が「12か月→13か月」となるのです。これも旧暦と新暦の大きな違いといえます。

なぜ沖縄では今でも旧暦が重要な季節の情報なのか?

今の沖縄では、農業で働く人よりも会社勤めをしている人の方が多いです。これだけを見れば「新暦だけでいいのでは?」と単純に思ってしまいます。また「伝統的な年中行事のために旧暦が必要」という理由も、時代とともに若者世代と年配世代の意識に違いが出てきているような気もします。

ただ沖縄には本土のようにはっきりとした四季がありません。一年の半分以上が夏ですし、春と秋は本当にあっという間に過ぎていきます。かろうじて夏以外の季節を感じるのが冬ですが、それもわずか2~3か月で終わりを告げます。

そんな沖縄で季節を感じるのが、伝統的な年中行事といえるのかもしれません。伝統行事は地域によっても違いますが、お盆については県内全域で共通しています。お盆には親族一同が集まり、街ではご先祖様の魂をおもてなしするためのエイサーが練り歩きます。

「ドーン ドーン」という太鼓の音は沖縄の人にとって夏の風物詩。本土の人が「夏といえば花火」というのと同じです。街から太鼓の響きが聞こえてくると、なぜか無性にワクワクします。

このほかにも地域で行われる綱引も季節を感じる伝統行事です。五穀豊穣を願って行われるもので、こちらも旧暦をもとに日程が決められます。こうした伝統行事が行われると、季節の変化がわかりづらい沖縄でも「○○の季節になったね」となります。

たまには旧暦で季節を意識する暮らしをしてみるのもいいのかも…

会社勤めをしている間は難しいでしょうが、「定年退職後にのんびりと暮らしたい」「ゆったりとした沖縄時間で移住生活を楽しみたい」というのであれば季節の変化を感じられる旧暦で暮らしてみるのはいかが?

気が付きにくい沖縄の四季を意識することは、毎日のちょっとした変化を楽しむ暮らしに繋がります。そんなステキな時間の過ごし方を提案してくれるところが、沖縄の旧暦の魅力にあるのかもしれません。

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