沖縄は昔からあの世の住人とこの世の住人が同居していると考えられています。特に魔物は人間に悪さをする奴らもたくさんいます。そのため沖縄では街の至る所に守り神様たちがいます。

どんな魔物からも家を守るシーサー

沖縄では、あの世の住人である魔物も至る所にいます。魔物は「マジムン」と呼ばれ、こっそりと人の後をつけて家の中に入り込もうとします。そんなマジムンから家を守ってくれるのが、家の入り口や家の屋根などに置かれたシーサーです。

シーサーの起源はライオンだと言われています。古代オリエントにおいて強さの象徴とされていたライオンは、石像となりシルクロードを通って中国へとやってきます。ところがアジアにはライオンそのものがいませんでしたから、ライオンの石像を見てもそれが実在する生き物であるとは思っていませんでした。つまり当時の中国では「ライオン=伝説の聖獣」と解釈したわけです。

ですから中国に入ってきたライオンの石像には独自の解釈が加えられ、中国オリジナルの伝説上の聖獣「獅子」に生まれ変わります。そして当時、中国と盛んに貿易を行っていた沖縄へと伝わってきます。

沖縄に伝わってきた獅子は、今度は沖縄独自の解釈が加わり「シーサー」が生まれます。そして城や集落、王陵などを守る無敵の守り神として置かれるようになります。

当初は特別な場所を守るための守り神とされていたため、庶民がシーサーを置くことは許されていませんでした。19世紀に入ると庶民がシーサーを自宅の敷地内に置くことが許されるようになり、屋根において魔除けとするようになります。こうして沖縄では街の至る所でシーサーが見られるようになったというわけです。

まっすぐにしか進めないマジムンから守る神さま石敢當

石敢當

沖縄では、曲がり角や突き当りの場所に「石敢當」と書かれた札が置かれています。これもれっきとしたマジムンから身を護るためのものです。

沖縄のマジムンの中には、まっすぐにしか進むことが出来ないちょっと変わったマジムンがいます。ものすごい勢いで前進してくるのですが、厄介なことに後ろに進むことも左右に曲がることもできません。そのためこの厄介なマジムンに人間が憑りつかれてしまうと、曲がり角や突き当りにぶつかり事故に遭ってしまうのです。

でも曲がり角や突き当りに石敢當を置くと、マジムンは石敢當を避けていきます。そのため事故に遭うこともありません。

石敢當の由来には諸説あります。最も有名な話としては、中国のものすごく強い武士の名前がその由来にあるといわれています。なんでもとんでもない強さを誇る武士で、人間だけでなくあの世の住人であるマジムンにも負けません。そのためマジムンたちは石敢當の名前を見るだけで恐れて避けていったといいます。

ちなみに「石敢當」と書く場合もありますが、「石巌當」と書くこともあります。

石巌當

さらに最強の武士の名前が「泰山」といったことから、「泰山石敢當」と書くこともあります。

泰山石敢當

ちなみに石敢當は、石に文字が彫られたものを曲がり角につけておくのが基本です。ただあくまでも一般的に見られるというだけで、正しい決まりがあるわけではありません。そもそも石敢當は魔除け札としての意味があるため、直接ペンキで「石敢當」と書いていることもあります。さらに鏡に「石敢當」と手書きで書いたものを曲がり角においてあることもあります。

シーサーと石敢當の最強ペアもある

シーサーと石敢當

どんな魔物からも守ってくれるシーサーと、曲がることが出来ない厄介なマジムンから守ってくれる石敢當がタッグを組んでいることもあります。

一見すると「本当にシーサー?」と思うかもしれませんが、沖縄のシーサーには様々な顔をしています。そのためこんな顔をしているシーサーもいます。

シーサー

顏だけを見ると孫悟空のように見えますが、これもれっきとしたシーサーです。そもそもシーサーは「ライオンを原型とした伝説の聖獣」ですから、石像の作り手が伝説の聖獣・獅子をどのように解釈するのかによって形や表情もかなり変わります。

さらに石像ですから時間が経過するとともに自然に風化が進みます。だから古いシーサーになるほど、オーソドックスなシーサーの姿からかけ離れて見えるのかもしれません。

いずれにしても「シーサー&石敢當」という最強タッグで守られている集落は、どんなマジムンも寄り付かない最高に安全な場所といえるでしょう。

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