沖縄の海には、美しい珊瑚礁が島を取り囲んでいます。青い海と珊瑚礁は沖縄を代表する美しい風景なのですが、その珊瑚で今「白い砂漠」と呼ばれる白化現象が深刻化。白い砂漠になりつつある沖縄の珊瑚白化現象とは?

沖縄の珊瑚が危機的状況にある!

沖縄といえば、透明度の高い海に広がるサンゴ礁が印象的ですよね?珊瑚は海の生物をやさしく見守ってくれる植物と思われがちですが、本当は植物ではなく動物に分類されています。ただし珊瑚には大きな欠点があります。珊瑚は動物なのですが、自由に動くことは出来ません。

しかも珊瑚は、周りの海の環境に敏感に反応します。美しい沖縄の海に珊瑚が多く生息していたのは、珊瑚が成長するのに適した環境にあったからです。ところが今の沖縄の海は、利益重視の土地開発や観光客のマナーの悪化などによって環境がどんどん悪くなっています。

海の環境が悪くなっても、魚など自分で動くことが出来る生き物であれば環境の良い場所に避難することもできます。でも珊瑚は、動物なのですが自分で動くことが出来ません。海の環境が悪くなればストレスやダメージをもろに受けてしまい、白化現象を起こしてしまいます。

白化してしまった珊瑚は、産卵をすることが出来ません。しかもこの白化現象は今、沖縄の海でどんどん広がっています。

「白い砂漠」と呼ばれる珊瑚白化の原因とは?

珊瑚

美しい海の象徴でもある珊瑚ですが、白化してしまった珊瑚は二度と元に戻りません。そして環境に変化がない限りこの現象は周囲にも広がっていきます。白化した珊瑚たちはまるで砂漠のように見えるため、「白い砂漠」とも呼ばれます。では白い砂漠が広がっていく原因はどこにあるのでしょうか?

唯一の食料が確保できなくなることが原因?

珊瑚の白化が起こる一番の要因は、海の環境汚染といわれています。珊瑚が成長していくために必要なのが、褐虫藻(かっちゅうそう)です。ここでも問題になるのが、「珊瑚は自分で動けない」ということです。

そこで珊瑚は、褐虫藻をわざわざ採りに行かなくても済むように家の中で育てる秘策に出ます。つまり珊瑚は「エサをとる動物」ではなく「エサを育てる動物」なのです。

ところが、ここにもある問題があります。珊瑚にとってなくてはならない褐虫藻なのですが、珊瑚は自らの体が白化してしまうと大事な褐虫藻を外にはじき出してしまいます。唯一の食糧である褐虫藻がいなくなってしまった珊瑚は、成長するために必要なエネルギーが不足してしまいますからさらに白化現象が進んでいきます。

強いストレスが原因?

珊瑚はストレスに敏感に反応する性質があります。珊瑚がストレスを感じる一番の原因は、なんといっても海の環境汚染にあります。海に人工物が作られると、それだけでも海の環境は変化します。さらに観光客のマナーの悪化やごみの不法投棄なども、水質汚染の原因となります。

このような海の環境の変化は、自分で動くことが出来ない珊瑚に強いストレスを与えます。強いストレスを感じた珊瑚は、自分たちの大切なエサである褐虫藻を自ら追い出してしまいます。つまり珊瑚が褐虫藻を追い出してしまう原因には、珊瑚が受ける強いストレスが関係しているというわけです。

台風が来なくなったことも原因?

毎年台風の被害に悩まされている沖縄。でも珊瑚にとって台風は、高くなりすぎた海水温を下げるためにどうしても必要なものです。

珊瑚の白化現象には、海水温が高温になっていることも関係しています。日中の強い日差しによって海面近くの海水温は高くなりますが、光の当たらない海の深いところでは夏でも海水温が低いです。そのため台風の強力な風の力によって海の中をかき混ぜることで、海面の温かい海水と海底近くの冷たい海水がうまく混ざり全体的な海水温を下げてくれます。

珊瑚は海面の海水温30℃前後が長期間続いてしまうと、大きなダメージを受けます。珊瑚がダメージを受けるということは、珊瑚の白化現象が進んでしまうことを意味します。そのため珊瑚の白化現象の陰には、台風の通過回数も関係しているのです。

珊瑚を育てる活動が定着しつつある沖縄

沖縄の海の代名詞でもある珊瑚の白化現象を前に、何もしてこなかったわけではありません。ところが珊瑚の養殖そのものが非常に難しく、しかも一度白い砂漠となってしまった珊瑚礁をよみがえらせるには何万年もかかるといわれています。

そんな珊瑚の養殖に世界で初めて成功したのが、現在珊瑚養殖の第一人者として活躍している金城浩二さんです。金城浩二さんは、奇跡といわれてきた珊瑚の養殖に様々なアイデアで取り組み成功しました。もちろん珊瑚養殖の基本的な技術や仕組みの開発にも積極的に関わってきたのですが、白い砂漠に代わっていく珊瑚への沖縄県民の意識改革にもユニークなアイデアで取り組んでいます。

クリーンピック活動

海の環境汚染が珊瑚の白化現象の最大の原因といわれているのですが、そもそも環境汚染の原因を作っているのは、私たち人間の身勝手な行動です。ごみの不法投棄もそのうちの一つであり、珊瑚だけでなく海の生物に様々な悪影響を与えています。

でもごみの不法投棄が酷い場所を見てみると、あたり一帯がゴミだらけになっている場所に多いことに気が付きます。逆に日頃からゴミがほとんど落ちていない美しいビーチには、ごみの不法投棄はほとんど見られません。つまり地元の人々の意識が変わることが、地道ではあっても確実に海の環境を良くする方法なのです。

そこで金城さんは、地元住民の意識を変えサンゴ礁が育ちやすい環境づくりをする活動として「クリーンピック(ビーチクリーン)」イベントを主催しています。しかもこのクリーンピックはただのゴミ拾い活動でないことが、面白さの秘密。日中の暑い中をひたすらゴミを拾っているだけでは大変な作業でしかないのですが、「ゴミ拾いをスポーツとして楽しんでしまおう」というユニークな発想でこの状況に変化をもたらしたのが金城さんです。しかもクリーンピックイベントを実際に仕掛けてみると、この考え方に賛同する人が多く現れます。

金城さんが発案した楽しくビーチをきれいにする「クリーンピック」は、今では沖縄県内だけでなく全国にも広がっています。なんとクリーンピックには全国大会もあり、優勝者には賞金まで出ます。ただのゴミ拾いでは汚染が広がる海の環境を守るのに相当な労力が必要ですが、ごみを拾うことが楽しみに変わるスポーツにすることによって、今ではその活動が全国にまで広がっています。

珊瑚養殖から始まったクリーンピックをはじめとする住民活動。今後も沖縄では、美しい珊瑚が見られる海の復活を目指して様々な活動が進められていくことでしょう。

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