呪文

沖縄には、昔から日常生活の中でおまじないのような呪文を唱える風習があります。なかでも、地震・雷・火事という天災は、日常生活に大きな危険が降りかかります。そのため、沖縄ではこんな呪文を唱えます。

地震が起きたら「チョージカ、チョージカ」

沖縄では、これまで大きな地震はほとんど起きていません。普段もあまり地震が起こらない地域として今でも有名なのですが、小さな地震は時折起こります。そんな時、沖縄の人々は、「チョージカ、チョージカ」と唱えます。

なんで「チョージカ」?

チョージカは、「経塚」の沖縄方言です。経塚とは、那覇市に隣接する浦添市の地区名で、安波茶(あはちゃ)交差点を結ぶ道路周辺にあります。

経塚は、その昔、妖怪が度々出没する地域といわれており、人々は経塚に現れる妖怪たちに日頃から悩まされていました。そのことを聞いた真言宗の偉いお坊さんが、お経を小石に写し、それを経塚の丘の上に納め、碑石を建てました。

お坊さんの供養が終わった経塚では、その後、妖怪の話はぴたりと止まります。そこで人々は、この地域には、強い霊力が込められていると考えるようになり、目に見えない存在のせいで恐ろしい出来事に遭遇した時には、「チョージカ、チョージカ」と唱えるようになりました。

どうして地震のおまじないなの?

地震のおまじないとして「チョージカ、チョージカ」を唱えるようになったのには、もう一つの理由があります。

ある時、沖縄では珍しい大きな地震が起こりました。浦添のほかの地域では、この地震のせいで大きな被害がおきたそうなのですが、なぜか経塚だけは、ピクリとも動かなかったのだそうです。この話が沖縄全体に広がり、地震が来たら「チョージカ、チョージカ」と唱えると、地震は治まり、被害にも遭わないといわれるようになりました。

地域によって言い方はちょっと違う

沖縄では、住む地域によって方言もかなり違います。そのことも関係しているのかわかりませんが、「チョージカ、チョージカ」以外の呪文も存在します。

本島北部の金武地区や宜野座区では、「チョーチカ、チョーチカ」といい、伊是名島では「トーチカ、トーチカ」といいます。

ちょっとかわいいチョージカのバリエーション

その他の地区にも、チョージカに変わる呪文があります。次に挙げるものは、聞いてみるとちょっとかわいく感じます。

  • 「ツカツカ、ツカツカ」(石垣市)
  • 「チョーチカチカ」(経塚以外の浦添市)
  • 「チョーンチカチカ、チョーンチカチカ」(那覇市)

雷の場合は「クァーギヌシチャ」

稲光が突然光ると、「クワバラ、クワバラ」と唱えるのが一般的です。この「クワバラ」の由来にも諸説ありますが、よくいわれているのは、菅原道真公の領地にあった桑畑と関係しているといいます。

学問の神様として有名な菅原道真公の領地には、桑畑がありました。雷は、桑畑の周辺には何度も落ち、人々にも大変な被害がおきたのですが、道真公の桑畑だけは、なぜか雷が落ちません。そのため、「ここは道真公の桑畑だから、雷は落ちないでください」という願いを込めて「クワバラ、クワバラ」と唱えるようになったといいます。そんな「クワバラ、クワバラ」ですが、沖縄では全く違う言い方をします。

沖縄では「桑の木の下ですよ!」とアピールする

沖縄では、「クワバラ、クワバラ」の代わりに「クヮーギヌシチャ」と言います。「シチャ」は「下」の意味があり、「クヮーギ」は「桑の木」の意味があります。そのため、直訳すると「桑の木の下」となります。さらに沖縄で桑は、藤原道真公の領地にあった桑とは関係がなく、中国の考えが影響しているようです。

中国では、桑の木は神聖な木といわれています。しかもその霊力はすさまじく、雷神でさえ恐れるのだといいます。そのため、「桑の木には雷は落ちない」というのが中国の古くからの考えにあり、中国との貿易を通じて、沖縄にもその考えが入ってきたのだといわれています。

この考え方が沖縄の庶民の間で広がり、雷がおきた時のおまじないとして、「クヮーギヌシチャ(ここは桑の木の下ですよ!)」とアピールするようになったのだそうです。

桑の木の股ということもある

雷避けの呪文には、「クヮーギヌマタ(桑の木の股)」ということもあります。これは、その昔、大暴れをしていた雷の精霊が、誤って桑の木の下に落ち、桑の股(太い根の股)に挟まって死んでしまったことが由来にあるといわれています。この出来事以降、雷の精霊は桑の木のことを怖がるようになり、雷が落とすことがなくなったといいます。

火事の時は「ホーハイ」という

かつて沖縄では、火事が起きると7日以内に「火かえし」という厄払いを集落内で行っていました。この時に、人々が唱える呪文が、「ホーハイ」です。この「ホーハイ」の由来にも諸説あるのですが、沖縄で伝わる由来は、ちょっぴりエッチな話です。

女陰のこと?

沖縄で「ホー」とは「女陰」の意味があります。沖縄で女陰は、エッチな意味ではなく、「非常に神聖なもの」という意味があります。命が生まれる入口であり神秘的な場所という考え方があるため、女陰には邪悪な悪霊や悪鬼を祓う強烈な呪力があるといわれています。

さらに「ホーハイ」の「ハイ」には、「露出する」という意味があります。ですから、「ホーハイ」を直訳すると、「女陰を露出する」という意味。神聖な象徴を見せることによって、火事を起こす悪霊たちを祓うという意味があるのでしょう。


いかがでしたか?沖縄には様々な呪文がありますが、一昔前までは沖縄でも多くの方が知っていた呪文も今では時代の流れとともに忘れられつつあります。

オジィーやオバァーは知っていても今の若い世代の子は聞いたことが無いという方が多いでしょう。昔から言い伝えられていた呪文を口ずさむともしかしら効果があるかもしれませんね。

沖縄を知る】の最新記事
  • 豪華客船
    沖縄に寄港する世界的に有名な超豪華客船がすごい!
  • バレエ
    沖縄のバレエが伝統舞踊と融合し独自に進化していた!
  • ソーミンチャンプルー
    沖縄に来たらぜひ作りたい簡単にできる沖縄家庭料理
  • ブタ
    沖縄料理なら本当に豚を丸ごと全部食べられるのか?
  • 呪文
    地震・雷・火事に効く!昔から伝わる沖縄の呪文
  • シーサー
    シーサーが家の門に置かれるようになったわけ
この記事を読んだ人はこちらの記事も読んでいます。