シーサー

家の守り神であるシーサーは、沖縄の民家の門でよく見かけます。でも、シーサーによっては、紋以外の場所にも置かれています。では、沖縄のシーサーが家の門に置かれるようになったのはどんな理由があるのでしょう?

沖縄最古のシーサーは火除け目的だった

現存する沖縄最古のシーサーは、八重瀬町富盛地区にある「石彫大獅子」です。今でも富盛地区の小高い山の上に建ち、富盛地区の守り神として存在し続けている石彫大獅子。でも、この石彫大獅子は、そもそも家の守り神として建てられたものではありません。

火山による大火事除けとして建てたシーサー

石彫大獅子が建てられる以前の富盛地区は、しばしば火災が起き、人々を悩ませていました。そのため、久米村(現在の那覇市)に住むある風水師に相談し、原因を訊ねることにします。すると風水師は、集落にある八重瀬嶽が火山であり、その影響で火災が起きているのだと答えます。さらに、「シーサーを作り、八重瀬嶽の方角に向けて設置すると火災は治まる」とアドバイスされます。

そこで人々は、石彫大獅子を作り、風水師のアドバイスの通り八重瀬岳の方角に向けて設置します。すると、風水師が占った通り、集落で頻発していた火災はおさまります。ここからもわかるように、沖縄最古のシーサーは、家の守り神としてではなく、火除けとして設置されたことがわかります。

最古のシーサーはペアではなかった

一般的な民家の門にあるシーサーは、2つのシーサーがペアになることが一般的なのですが、現存する沖縄最古のシーサーは1つしかありません。もちろん風貌も大きさも、民家の門で見られるシーサーと比べると、石彫大獅子の方がよっぽど迫力があるのですが、ペアではありません。

集落の境界線上に置かれるシーサー

石彫大獅子のような火除け目的のシーサーは、全体的から見ると珍しいのですが、家の屋根以外に魔除けとして設置されるシーサーは他にもあります。中でも多いのが、集落の境目に置かれたシーサーです。

沖縄では、ヤナムンと呼ばれる人間に害を及ぼす悪霊やマジムン(目に見えない魔物)は、人間の世界とすぐ近い場所にいると考えています。ヤナムンが人間の集落に入り込んでくると、災いや病など様々なことがおこると考えられているため、ヤナムン対策は必須。その一つとして、人間の世界とヤナムンの世界の境界線にシーサーを設置し、集落の守り神とすることがありました。

屋根の上にシーサーが置かれるようになったのは?

シーサー

古い沖縄の民家には、今でも屋根の上にシーサーが設置されています。これは、かつての民家の屋根にシーサーが設置することが一般的であったことの表れだと考えられます。

民家の屋根にシーサーが置かれるようになったのは、どうやら18世紀中頃のことだといいます。そもそもシーサーは、漆喰や陶器など重さのある置物です。18世紀以前の沖縄では、一般的な民家の多くは茅葺き屋根であり、設置することはあまり現実的ではありません。そもそもこの時代は、首里や那覇以外の地域で、公舎以外の家屋の屋根に瓦を使うことは禁止されていました。

この禁止令が解除されたのが1884年(明治17)のことで、これ以降、一般庶民の間でも瓦屋根の木造家屋が建てられるようになります。これをきっかけに、民家の屋根の上に、家の守り神としてシーサーを設置することが一気に広まっていきます。

いつ頃から門に置くようになった?

家の守り神として、屋根の上にシーサーを置くことが一般的となった沖縄ですが、瓦屋根に変えたことによって、沖縄地方特有の台風の被害の問題が深刻になっていきます。

沖縄では、台風のピークである8月になると平均2.4個の台風が接近しています。上陸回数は少ないものの、強烈な風などの影響で、農作物だけでなく家屋にも大きな被害をもたらします。特に民家において深刻なのは、強風によって瓦屋根が吹き飛ばされる被害です。

そこで、台風による被害を避けるために、戦後に建てられた木造瓦屋根の民家の多くは、台風に強い鉄筋コンクリート製の家屋に変わっていきます。実はこのことが、民家の屋根から門の両脇にシーサーが移動することと関係しています。

もともとやねに置かれていた時のシーサーは、1対のみが設置されていることも珍しくありませんでした。シーサーの顔が向いている方角も、正面の場合もあれば、顔を横に向けているものもありました。

ところが、鉄筋コンクリート製の家屋になってからは、屋根に設置することが出来なくなったため、どこに家の守り神を設置するかという問題が生まれてしまいます。そこで参考にしたのが、本土の神社などで見かける狛犬の存在です。

神社の狛犬は、基本的に2体1ペアとなっており、家屋の門柱のように入口に設置されています。これがヒントになり、沖縄のシーサーは門の上に2体1ペアで設置するようになりました。今では、家の守り神としてシーサーを設置する際は、1対で準備することが一般的となっています。

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