石敢當

沖縄では、街の至る所で見ることが出来る「石敢當(いしがんとう)」。魔物から守るお守りということはよく知られていますが、石敢當には、まだまだあまり知られていない面白い秘密が隠されています。

石敢當は何から守るために置く?

石敢當は、家や建物を何かから守るためにおきます。では、石敢當は一体何から家や建物を守ろうとしているのでしょうか?

ヤナムンから守る

沖縄では、昔からヤナムンと呼ばれるものが存在するといわれています。ヤナムンの「ムン」は物という意味があり、「ヤナ」は悪いという意味があります。だから、ストレートに訳すと、「ヤナムン=悪い物」となります。

沖縄におけるヤナムンとは、目に見えない悪い物のことを言います。そのため、人間に害を与える悪霊や厄神、さらに災いの元といわれる悪い鬼など、超自然的な悪の存在をすべてまとめて「ヤナムン」と言います。

ちなみに、ヤナムンの「ムン」には、何らかの呪力を持っている存在と言われているので、生身の人間がいくら退治しようとしても、かなわない存在。だから、強い呪力を持ったヤナムンを避けるには、同じように呪力を持ったおまもりが必要だったというわけです。

石敢當の由来は?

石敢當は、中国のある文化が起源にあるといわれています。中国の歴史書によると、福建省のある県令(知事)が、除災招福や人民の幸せ、地域文化の興隆を願い、唐代770年に石敢當を建てました。現存する記録の中では、この出来事が最も古いと考えられているため、唐の時代に中国で始まった風習が、石敢當であるといわれています。

もともとは魔除けではなかった

現在、沖縄で見られる石敢當は、魔除けの目的で置かれるのですが、中国で始められた当初は、風水の一つとして使われていたようです。

まっすぐにしか進めない魔物たち

中国では、目に見えない魔物たちは、まっすぐにしか進めないと信じられていました。ですから、道の曲がり角やT字路、Y字路の角も、彼らは曲がることが出来ません。そのため、このような曲がり角は、魔物が溜まりやすい場所として恐れられていました。

そこで、風水の考えをもとに、魔物が集まる場所に石敢當を置き、魔物が建物や家にぶつかるのを避けることにしました。この考え方は、沖縄の石敢當にもそのまま引き継がれています。

「石敢當」は中国の武士の名前だった?

そもそも、「なぜ石敢當と呼ばれるようになったのか」という疑問が残りますよね?この疑問の答えが、本島北部にある名護市羽地に伝わる民話の中にあります。

最強の武士に守ってもらおう

中国との貿易が盛んだった琉球王朝時代の話です。この頃の中国には、「石敢當」という名の武士がいました。石敢當は、何しろ大変強い武士だったそうで、人間や獣だけでなく、目に見えない魔物に至るまで絶対に負けることのない最強の武士だったのだとか…。

そこで沖縄では、道の角や突き当りに、最強の武士の名前を書いた札をたてて、魔物を中に通さないようにまもってもらうことにしました。いつしかこの風習は庶民の間でも定着し、道や曲がり角だけではなく、風水で悪い場所といわれるところにも置くようになり、沖縄の魔物除けとなったのだそうです。

本当に石敢當は実在していた?

石敢當という武士がいたという話は、どうやら実話なのではないかという話があります。中国の書物である『徐氏筆精(じょしひっせい)』では、中国の五大十国の時代に実在した人物だったことが記されています。記録では、石敢當という武士は、災いは全て福に変え、どんな災難も彼がすべて防いだといいます。

この話は後世にも言い伝えられ、いつしか、橋や道路の建設時には最強武士の名前を刻み込み、家や家屋を災厄から守るようにしたそうです。

石碑の石敢當だけじゃない!ビックリな石敢當

石敢當といえば、石碑に「石敢當」と刻印されたものが一般的です。でも、中には石碑以外の石敢當も存在します。

鏡の石敢當

鏡には、魔物や悪例などの魔除けの効果があるといわれています。そのため、鏡を使った石敢當もあります。ただし、この石敢當は、よく見てみると「鏡敢當」と書かれています。この漢字を訳してみると、「鏡がヤナムンに敢えて當たる」となります。かなり珍しいですが、沖縄本島内で稀に見ることが出来ます。

車庫のシャッターに直接「石敢當」

これは、車庫の持ち主の想いはよく伝わるのですが、いかんせん「これでよいのか?」という気持ちにもなってしまいます。

でも、ダイレクトに壁に文字を書くというのは、沖縄では比較的よく見られる光景。店の看板なども、建物の壁に直接ペンキで書き込むのが、昔ながらの沖縄の看板です。そう考えてみれば、あえて石に刻印した石敢當ではなくても、十分に効果があるのかもしれませんね。

「石敢當」の文字には、様々なものがある

石敢當は、別の漢字を当てて書くこともあります。最もよく見かけるのが、「石巌當」の文字。日本全国で見られる「石敢當」は「せきかんとう」と読むので、「石敢當」と書くのが一般的なのですが、沖縄では「いしがんとう」と読むため、「敢」と「巌」と書くことも多いのです。さらに、読み方が似ているということから「石岩當」と書くこともあります。

「當」を別の字に変えるものもあります。これは、読み方が似ていることが関係していると考えられますが、「石敢堂」「石巌堂」などと書くこともあります。

もっと長い名前の石敢當もある

漢字3文字で表すだけが石敢當かとおもいきや、実はもっと多くの漢字を使う石敢當も存在します。それが、「泰山石敢當」です。

「泰山」というのは、中国で代表的な霊山の一つです。日本で言いかえれば、霊山といわれる富士山のような存在です。そのため中国では、「泰山」を「石敢當」の上に加えることによって、より霊力の強い魔除けとして使われていました。

沖縄では、3文字の石敢當が一般的なのですが、泰山石敢當も見ることが出来ます。ただし、数は非常に少ないので、遭遇するのはかなり難しい…。ちなみに、沖縄に現存する最も古い「泰山石敢當」は、久米島にあります。

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