ムーチー

沖縄で昔から伝わるお菓子の中に、「鬼餅」という餅があります。方言でムーチーと呼ばれる甘い餅なのですが、食べ方や由来、子供にまつわる不思議な風習があります。

そもそも鬼餅(ムーチー)ってどんな食べ物?

沖縄で古くから伝わる伝統的な食べ物「鬼餅(ムーチー)」は、旧暦の12月8日に食べます。沖縄でよく見かける月桃の葉に餅を包み、蒸して作るこのお菓子は、ほんのりと甘いだけでなく、月桃の独特の香りも特徴です。地元では、「ムーチー」と呼ぶ以外に、「カーサムーチー」と呼ぶこともあります。

作り方はとってもシンプルなのですが、昔から黒糖や紅芋などを使って味付けをするのが特徴。特に、紅芋を使ったムーチーは、美しい紫色をしているので、見た目的にも人気があります。

ムーチー

どうして鬼餅と呼ばれるようになった?

ほんのりと甘い餅を「鬼餅」と呼ぶようになったのには、沖縄で広く言い伝えられている昔話にヒントがあります。

鬼になった兄をムーチーで退治した妹の話

昔、ある村に一人の女の子が住んでいました。女の子には、兄が一人おり、一見すると何ら変わったところのないきょうだいだったのですが、兄には恐ろしい秘密がありました。実は、女の子の兄は、夜になると集落の家畜を食べる鬼に変身してしまうのです。

鬼となった兄は、だんだん狂暴になり、被害もどんどん大きくなるばかり。村人たちは何とか鬼を倒そうと思うのですが、なかなか倒すことができず困り果てるばかり。そんな噂は、妹である女の子の耳にも入ります。

そこで女の子は、兄を退治するために、兄の好きな餅の中に鉄くずや鉄の塊を忍ばせ、月桃の葉で包んだものを鬼に変わった兄に食べさせることにします。何も知らずに餅を食べた鬼は、そのまま七転八倒。その隙に女の子は、鬼を崖から突き落として退治したといいます。

なんでもこの鬼退治が行われたのが旧暦の12月8日のことだったということから、鬼退治のために作られた餅のことを「鬼餅(ムーチー)」といい、旧暦の12月8日に食べるようになったといわれています。

鬼が住む街には巨大ムーチーを作る鍋がある

沖縄本島南部にある旧・大里村(現在の南城市)は、その昔、鬼餅の由来となった鬼が住んでいたといわれています。そのため、旧大里村は、「ムーチー由来の地」と言われ、かつては直径3.25m、総重量900㎏の巨大鍋を使った巨大ムーチーづくりが行われていました。現在、巨大ムーチーづくりのために使われていた巨大鍋は、南城市役所大里庁舎の一角に飾られています。

ちなみに、ムーチーの由来となった鬼が住んでいたと祝われているのは、大里城址公園のすぐ近くにある西原集落。現在その場所は、恐ろしい鬼が住んでいたとは思えないほどきれいに整備されているのですが、古くから伝わる昔話では、本当に鬼が住んでいたそうです。

ムーチーの由来となった鬼が退治された首里金城町

ムーチーの由来となった鬼を妹が退治した場所と言われているのが、那覇市の首里金城町です。首里金城町といえば、美しい石畳道が有名なのですが、鬼退治の現場となった場所は、この石畳道のすぐ近くの「金城大嶽(かねぐすくうふたけ)」という場所にあります。

金城大嶽の場所は、ガイドブックでは「樹齢300年の大アカギがある場所」として紹介されていますが、地元ではパワースポットとして有名な場所でもあります。

赤ちゃんが生まれた家で行われるハチムーチー行事

沖縄では、赤ちゃんが生まれると、初めて迎えるムーチーの日に「ハチムーチー(初鬼餅)」と呼ばれる行事をします。これは、赤ちゃんの健やかな成長を願うための行事と言われており、赤ちゃんのお母さんが作ったムーチーを親戚やご近所の方へ配ります。

この鬼餅は、虫よけ効果のある月桃の葉に餅を包んで作るため、魔よけとしての意味があるといわれています。

軒先に餅が吊り下げられている家には子供が住んでいる

子供にまつわるムーチーの行事は、ほかにもあります。実は、子供のいる家庭では、子供の年の数だけムーチーをひもで結んで家につるす風習が今でもあります。そのため、市販されているムーチーは、どれも紐で結ばれています。

このときのムーチーは、魔よけの意味だけでなく、「子供たちが食べ物に困らないように」という願いが込められているといわれています。

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