ポーク

沖縄料理に欠かせない食材といえば、缶詰に入ったお肉。沖縄では、この缶詰を「ポーク缶」とよんでいます。でも、本土では、「スパム」と呼ぶ人が圧倒的に多いこの缶詰。この違い、一体何が関係しているのでしょう?

ポークもスパムも、みんなまとめてランチョンミート!

沖縄で缶詰の代表格であるポークまたはスパム。どちらも同じなはずなのに、頑なに「絶対に違う」と言ってきかないウチナンチュにこそ、はっきりといっておかなければいけません!

「ポークもスパムも、どっちもランチョンミートなんだよ!」

でも、これではあまりにも答えが雑すぎます。だから、訂正しておきます。

「ポークとスパムでは、きちんと違いがあります」!

では、その違いとはいかに?

ランチョンミートっていったい何?

問題のランチョンミートですが、これを文章で説明すると、なんだかとても面倒な料理の説明になってしまいます。

というのも、缶詰に詰められている中身が「ランチョンミート」であって、ランチョンミートが詰められた缶詰そのものを「ランチョンミート」というわけではないのです。ややこしい…。

豚ひき肉にいろいろな香辛料を加えて形を整えたものを、時間をかけてオーブンで加熱し、さらにこれを冷ますことによって保存性を高めた、自家製ソーセージのことを、「ランチョンミート」というのです。

さらにもっと詳しく説明すると、「ランチョンミート」の「ランチョン」が、本来「昼食」という意味があり、手軽な保存食品としてランチメニューに重宝されたこともあって、「昼によく食べるミート=ランチョンミート」となったわけです。

ですが、注意すべきなのはここからです。

あくまでも、ここまでで説明してきたのは、缶詰にしないランチョンミートの作り方です。ですが、缶詰加工のランチョンミートは、作り方が根本から違います。

実は、加熱前の豚肉と牛肉に、ラードと食塩、香辛料、調味料を混ぜたものを直接長方形の缶に詰め、加熱殺菌と調理を同時に行うことで完成するのが、缶詰のランチョンミート!

だから、焼いたり炒めるのが定番の食べ方なのですが、販売されている缶詰のランチョンミートは調理済み食品ですから、そのまま食べたとしても、全く問題がないのです。

じゃあ、本題のスパムとポークの違いは何なの?

スパムまたはポークの中身がランチョンミートであるということは分かったと思いますが、いまだに、その違いが明確になっていませんね。それでは、今度こそはっきりといいましょう!

『沖縄ではデンマークのTULIPが定番だけど、日本本土ではホーメル社のSPAMが人気なだけ!』

仕方ないじゃないですか…。本当にそれだけの違いなのですから。でも、これではみなさん納得してくれないでしょうから、もう少し丁寧にこの違いを説明します。

これが沖縄県民の愛するTULIPのポークだ!

沖縄では、缶詰のランチョンミートといえば、圧倒的にTULIPです。ですが、缶詰のプリントをよく見てみると、ホーメル社製の「SPAM」のようには、ロゴがそれほど強調されていません。

しかも、あくまでも「メインはランチョンミートだ!」ということを主張しているTULIPは、スライスされたランチョンミートの写真を前面に押し出しているのが特徴です。何しろ、このランチョンミートが沖縄で流通するようになったのは、戦後の食糧難の時です。アメリカ軍の統治下にあった沖縄では、TULIPの缶詰が軍経由で流れてきました。

しかも、本土復帰の際、日本の関税や輸入に関する様々な法律によって沖縄の県民生活に影響が出るのを抑えるために設けられた特別措置によって、TULIPのポーク缶のようなランチョンミートには関税の低減対象となったため、その後も順調に沖縄の食卓にはポーク缶が登場し続けます。

なにしろ、沖縄ではポーク缶といえば「肉より安くてなんにでも使える万能食材」!そのため、安くなければ意味がないのです。そのため、たとえ中身が同じランチョンミートであったとしても、値段が高いSPAMよりは、平均190円台後半~200円前後で購入できるTULIPの方が、圧倒的に人気が高いのです。

沖縄県民からみれば高級品のSPAMは、本土で定番のランチョンミート缶

沖縄県民が愛してやまないTULIPのポーク缶に対し、日本本土では、ホーメル社のSPAMが圧倒的な人気があります。でも、SPAM派を自認する本土の人にとって、「SPAM=ランチョンミート」ということを知っている人は意外に少ないのではないでしょうか?

というのも、TULIPの缶詰には、下部分に「PORK LUNCHEON MEAT(ポークランチョンミート)」と大きく印刷されています。

ところが、SPAMの場合、「レギュラースパムランチョンミート」と小さく書かれているだけで、何よりも「SPAM」のロゴが全体の1/3を占める主張です。さらに、写真には、シャリに見立てた握り飯の上に焼いたポークを乗せ海苔でまいた元祖・ポークおにぎりが採用されています。

これでは、「この缶詰はポークおにぎりを作るためのランチョンミートです」といっているのと変わりません。

実際に普及した経緯としては、本土も沖縄同様、アメリカ軍の配給物資として缶詰のランチョンミートが含まれていたことがきっかけとなっているようですが、沖縄のようにランチョンミートが地元の食文化に深くかかわることがなかったため、あくまでも「SPAMという名前の輸入食品」という立ち位置のまま、現在に至っているのかもしれません。

要するに、ポークもスパムも味の好みの違いしかない!

断言してしまうと、なんだかここまで説明してきた分が悲しくなるのですが、結論から言うとこの一言に尽きるのです。

住んでいる地域によって、缶詰されたランチョンミートとの馴染み具合に違いがあり、さらに積極的に食文化にランチョンミートを加えるか、それとも単に珍しい食べ物としての地位を確立するのかの違いによって、ランチョンミートを取り巻く環境には違いが生まれました。

何しろ、缶詰のランチョンミートの作り方は、TULIPもSPAMも同じなのですから、味付けや香辛料の配合などに多少味にも違いは出てきたとしても、基本的には同じものです。ですから、どちらを使っても、できるポークたまごおにぎりの味は殆ど同じだし、料理に使う時だって、どちらを入れたとしても味に大差はありません。

それでも、昔から馴染みのある方が、よりおいしいと感じるもの。ですから、みんなが自分の好きなランチョンミートに誇りをもって、これからも堂々とそのことを主張していけばよいのです。

それでも、私はあえて最後に言いたいのです。

「私は絶対ポーク派!」

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