ゆいレール

沖縄で唯一、車以外の公共交通機関として運行されているのが、沖縄都市モノレール「ゆいれーる」です。南北に長く広がり、それぞれに、平和祈念公園や沖縄美ら海水族館など、県内でも有名な観光スポットがある沖縄なのですが、残念ながら、今のところこれらの場所に車以外の移動手段で足を運ぶことはできません。

そんな鉄道不毛の地である沖縄に、2003年開業したのが、沖縄のモノレール「ゆいレール」でした。でも、あれだけ開業を期待されてきたモノレールにもかかわらず、沖縄県内では、「かなり限定された移動手段」という立ち位置で留まっています。その理由には、実は本土ではあまり知られていないこんな事情がありました。

県民の足の「理想」と「現実」

電車が走っていない沖縄では、県内初となるモノレールの開業当初、多くの県民が「人生初」となる車以外の乗り物を体験しようと駅に押し掛けました。その多くが、初めて列車を利用することになったため、券売機や自動改札機の前では、使い方がわからず立ち往生する人が多くみられ、開業からしばらくは、こうしたことが理由でどの駅も大混乱していました。

あれから、今年で14年目となったモノレール。さすがに、開業当初のような混雑はなくなりました。

ですが、多くのウチナンチュで賑わっていたモノレールの車内は、いまでは、修学旅行の学生や大きなスーツケースを持った観光客が大半を占め、県民の足として期待されていたはずのモノレールの姿は、大きく様変わりしています。

かつては沖縄にも鉄道が走っていた

かつて沖縄には、「ケイビン」(または「ケービン」)の愛称で親しまれていた鉄道が、沖縄本島を走っていました。この鉄道ですが、1917年までは「沖縄県軽便鉄道」、それ以降は「沖縄県鉄道」を正式名称としていました。

このケイビンが誕生するまでには、現在のモノレールの誕生同様、様々な苦労と問題を幾度となく乗り越えてきた歴史があります。

最も古い記録では、1894年ごろ、県外の資本家が沖縄本島に鉄道を敷く計画を出願したというものがあります。実際にこの時は、那覇市内の路面電車としては実現しましたが、資金調達がうまく行かず、本島各所を結ぶ鉄道の計画としては失敗しています。

こうした県外の資本家たちの動きを受け、明治末ごろには、県営鉄道の計画が沖縄の県議会で採択されるようになり、ついに、首里から与那原(よなばる)間を結ぶ「与那原線」の開業にこぎつけます。

これで計画が全島に広がるかと期待されていたのですが、第一次世界大戦後の不況の影響を受け、鉄道建設の資金にめどが立たなくなり、着工予定だった糸満線の建設が一時中止されます。

その後、何とか国庫補助を受け、鉄道建設が再開されると、1922年3月に嘉手納線、1923年7月に糸満線が開業し、これをもって那覇市から嘉手納町、与那原町、糸満市を結ぶ3つの路線が完成しました。

これらの鉄道は、通勤通学の足として利用されるだけでなく、観光や流通の要として長く親しまれてきましたが、その後に起こった戦争によって、線路や鉄道が破壊されただけでなく、戦後は鉄資源の不足でレールが回収されたり、米軍基地の建設のために敷地が分断されるなど、事実上消滅してしまいました。

もしも、この時のケービンが今も現役で沖縄本島を走っていれば、現在のモノレールは誕生していなかったかもしれません。

沖縄のモノレールは本当に移動手段として便利なの?

那覇空港と駅が直結しているため、ガイドブックでも、「沖縄観光の便利な移動手段」として取り上げられることの多いモノレール。

でも、現実を見てみると、県民生活の足としての役割は、それほど高くないようなのです。

ウチナンチュには使いづらいモノレールの現実

もともと自転車に乗る習慣がほとんどないのがウチナンチュのため、徒歩以外の移動手段は、すべて車です。そのため、モノレールを利用するにしても、駅までの移動はすべて車です。

しかも、駅を降りてから主要な目的地までは距離があり、結局、駅から目的地までバスまたはタクシーを利用しなければならなくなります。

そうなると、モノレールの初乗り料金は大人230円ですし、市内を運行するバスも片道220円の運賃がかかります。

これに対し、県民の足として長く活躍しているタクシーの場合、1メーター500円以下から乗ることが出来ます。こうなると、乗り合いで利用すれば、モノレールやバスを利用するよりも、はるかに安く利用することが出来ます。

こうした背景もあってか、未だにバスやタクシーほど、ウチナンチュからの支持が集まらないのが、沖縄のモノレールの現実なのです。

修学旅行生には便利なモノレール

沖縄では、年中修学旅行として訪れる学生の姿を見ることが出来ます。その多くが、2泊3日の行程で沖縄を訪れているため、いずれかの宿泊地が那覇市内というケースが大半を占めています。

那覇市内の観光スポットといえば、首里城と国際通り主変の散策です。特に、この2つのエリアは、普段から交通渋滞が起こりやすく、しかも駐車場のスペースが限られているということもあり、車を使わずに移動をするのが、最も便利なエリアです。

この点を注目すると、モノレールは最高の移動手段です。何しろ、国際通りの両端には、「牧志(まきし)駅」と「県庁前駅」があり、中間地点となる「美栄橋(みえばし)駅」を利用すれば、離島に向かう船が停泊する泊漁港も徒歩圏内です。

しかも、牧志駅と県庁前駅周辺には、大型バスが一時停車できるスペースがあるため、集合地点としても利用しやすいという点もあります。もちろん、駅周辺には多くの宿泊施設がありますし、那覇空港から首里城まで乗り換えなしで移動できるというのも、観光客にとってはとても魅力的です。

ですから、那覇市観光を目的とした観光客や修学旅行の学生にとって、沖縄のモノレールは、なくてはならない移動手段となっているのです。

ウチナンチュの利用者が増えるのはいつの日か…?

車社会沖縄で唯一運航している車以外の公共交通機関だけに、「もっと地元が利用しやすい環境を整えてほしい」というのが、多くの県民の願いとなっています。とはいえ、未だ、県内各地に残る広大な米軍基地の影響で、十分な敷地が確保できないなど、様々な問題を抱えている沖縄。

そんな沖縄のモノレールですが、現在、那覇市に隣接する浦添市まで路線を拡大する計画が進んでいます。浦添線開業に向けて少しずつ動き出している沖縄のモノレール「ゆいレール」が、これからどのように進化していくのか、もうしばらく注目していく必要があるのかもしれません。

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